2010年2月10日深夜。フィレンツェ、ペレトラ空港に降り立った。荷物を受け取り空港の外へ出る。遅い時間のせいか思いのほかひっそりとしていた。空港前に並ぶタクシーに乗り込みホテルへと向かう。タクシーはオレンジ色の外灯に照らされる狭い路地を、これでもかというスピードで駆け抜ける。イタリアのドライバーは、狭い路地ほどアクセルを踏み込むのだろうか。とにかく車窓から流れゆく景色と石畳のゴトゴトという音が、スリリングでありつつもなぜか心地いい。イタリア。ついに来たんだ。この瞬間から私のイタリアの旅が始まった。
鞄の中には小さなカメラと数本のレンズ。訪れた町では生活をするように、ただただ歩く。そしていい光景に出会えばシャッターを落とす。すれ違うごとにあいさつをすれば必ず笑顔で応えてくれるのがイタリアだ。行き交う人々、空気、光と影…、そこにはなんの演出もない「日常」というすばらしいドラマがあった。
「SNAPS ITALIA」は、写真家・高橋俊充が、2010年から2017年と、8年にわたって旅し捉えたイタリアの日常とショートストーリーで綴る写真集です。

A4 横型変形（W220×H300mm）
全80P（カラー48P+特色3色によるモノクロ32P）
コデックス装丁+カバー［特別装丁本］
2018年2月20日発売

造本は「コデックス装丁」により、180度開く仕様で、側面の仕上がりや糸かがりも味わい深いものとなっています。カバー内側のモノクロ写真や、縦、横に開く紙面構成など、デザインも合わせてお楽しみ下さい。